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英語の『s』の発音を正しく出す3ステップ|『スタート』が伝わらない本当の理由

startstudentを「スタート」「スチューデント」とカタカナ発音で言ったら、ネイティブに聞き返されてしまった、という経験はありませんか。

実はこれ、発音の練習不足というより、日本語の「さ行」と英語のsがそもそも別物の音だから起きる、よくあるつまずきです。

オット

「s」なんて日本語の「さ行」と同じようなものだと思ってたよ。

エリカ

似ているようで、実は音の作り方がけっこう違うんです。今日はその違いと、正しく出すための3ステップを紹介しますね。

この記事でわかること
  • 英語の「s」が日本語の「さ行」と違う理由
  • 「s」を正しく発音する3ステップ
  • 「無気音」という説明が不正確な理由
  • 日本語の「さ行」に隠れた2種類の子音
目次

なぜ英語の「s」は日本語の「さ行」と別物に聞こえるのか

オット

「s」って結局、日本語の「す」と何が違うの?

エリカ

大きく分けると、音そのものの性質と、単語の中での使われ方の2つに違いがあるんです。

「s」は声帯を震わせない無声摩擦音

英語のsは、音声学では「無声摩擦音」と呼ばれる種類の子音です。

「無声」は声帯を震わせずに出す音という意味で、「摩擦音」は舌先を歯茎に近づけ、その狭いすき間に息を通して摩擦のノイズを作る音という意味です。

日本語の「さ・す・せ・そ」の子音も同じ無声摩擦音の仲間ですが、息の通り道の形が異なり、英語のsのほうが舌が平たく、幅の広い通り道から息が抜けるという違いがあります。

日本語は子音のあとに必ず母音がつく言語

もう1つの大きな違いは、単語の中での子音の使われ方です。

日本語は「さ」「す」のように、基本的に子音のあとに必ず母音がセットになる言語です。

そのためstartのように子音が連続する単語を見ると、無意識に「ス」「タ」のように母音を挟み込んで発音してしまい、「スタート」という余分な音節が増えた発音になってしまうのです。

これは日本語話者に共通して見られる傾向で、研究でも指摘されている現象です。

「s」を正しく発音する3ステップ

オット

母音を混ぜないようにするって、具体的にはどう練習すればいいの?

エリカ

私がレッスンでよく使うのは、この3ステップです。順番に試してみてください。

ステップ1:母音を混ぜず「s」だけを伸ばす

まずは単語を離れて、sの音だけを「スーーー」と5秒ほど伸ばしてみましょう。

上の前歯の裏に舌先を近づけ、その隙間から息だけが漏れ続けているか確認してください。

「う」に近い母音が混ざらず、ただの空気の摩擦音だけが続いていれば成功です。

ステップ2:sのあとに別の子音を重ねる

次に、sの音を止めずに、そのままtpkを続けて発音してみましょう。

stspskのように、途中に母音を挟まず2つの子音を直接つなげる感覚をつかむのがポイントです。

ステップ3:単語全体で練習する

ステップ2の感覚をつかんだら、startstudentstudyspeedstopのような単語全体で発音してみましょう。

「ス・タート」ではなく「sタート」のように、sと後ろの子音を一息でつなげる意識を持つと、音節が1つ減り、英語らしいリズムに近づきます。

3ステップまとめ
  • ステップ1:sだけを母音なしで伸ばして息の通り道を確認する
  • ステップ2:st・sp・skのように子音を直接つなげる練習をする
  • ステップ3:start・studentなど単語全体で一息につなげる

よくある誤解と注意点

オット

この「s」の発音、前に「無気音」っていう説明を見た気がするんだけど。

エリカ

実はその説明、音声学的には少し不正確なんです。整理しておきますね。

「無気音」という説明が正確でない理由

「有気音・無気音」は、ptkのように、一度口の中を完全にふさいでから息を破裂させる「破裂音」について、息の強さの違いを表す音声学の用語です。

sは口をふさがず、狭いすき間に息を通し続ける「摩擦音」なので、そもそも有気・無気という分類の対象にはなりません。

sの性質を正確に表すなら、「無声摩擦音」という言葉のほうが適切です。

日本語の「さ行」には実は2種類の子音がある

もう1つ知っておくと面白いのが、日本語の「さ行」には実は2種類の異なる子音が混ざっているという点です。

「さ・す・せ・そ」は英語のsに近い歯茎摩擦音ですが、「し」だけは調音の位置が少し後ろにずれた、別の種類の摩擦音になっています。

普段意識することはありませんが、日本語話者はすでに2種類の音を無意識に使い分けているということでもあります。

練習に使いたい「s」で始まる単語リスト

オット

3ステップの練習、どの単語で試すのがいいのかな。

エリカ

「s+子音」で始まる単語なら何でも練習になりますが、まずはこのあたりから試してみてください。

いずれもsのすぐあとに別の子音が続く単語で、日本語話者が「ス」の音節を1つ余分に挟みやすい代表例です。

練習用の単語リスト
  • start(始める)/stop(止まる)
  • study(勉強する)/student(生徒)
  • speed(速度)/space(空間)
  • small(小さい)/smile(微笑む)
  • sleep(眠る)/snack(軽食)

1つの単語を選んだら、まずはゆっくり、そのあと少しずつ通常の速さに近づけながら、この記事の3ステップを繰り返してみましょう。

「s」の発音についてよくある質問

オット

最後に、気になっていたことを聞いてもいい?

エリカ

もちろんです。よく聞かれる質問をまとめますね。

単語の最後にくる「s」も同じ練習でいいですか?

この記事で扱ったのは単語の頭にくるsですが、基本的な口の形や息の出し方の感覚は語末のsでも同じです。

語末の場合は、余分な母音を最後につけ足さないよう、息を出したところで止める意識を持つとよいでしょう。

「s」と「z」の違いも同じ理屈ですか?

基本的な舌の位置や息の通り道はszでほぼ同じです。

違いは声帯を震わせるかどうかだけで、sは声帯を震わせない無声音、zは声帯を震わせる有声音という関係になっています。

練習してもすぐには変わらないのですが、続ける意味はありますか?

口や舌の動きが新しい形に慣れるまでには、ある程度の反復が必要です。

1回で完璧を目指すより、この記事の3ステップを短時間でも繰り返し練習するほうが、変化を感じやすくなります。

まとめ:「s」は無声摩擦音、母音を混ぜずに出す意識を

英語のsは、声帯を震わせない無声摩擦音であり、日本語の「有気音・無気音」の分類とは別の性質を持つ音です。

「スタート」のように余分な母音を挟まず、sと後ろの子音を一息でつなげる感覚を身につけることが、ネイティブに伝わる発音への近道です。

本記事の要点
  • 「s」は声帯を震わせない無声摩擦音(「無気音」ではない)
  • 日本語は子音に母音がセットになるため、余分な母音が入りやすい
  • 3ステップ:sを伸ばす→子音を重ねる→単語全体で練習
  • 有気音・無気音は本来p・t・kなど破裂音のための分類

次にstartstudentを発音するときは、まずsだけを母音なしで伸ばすところから試してみてください。

小さな違いですが、意識するだけで通じやすさは着実に変わっていきます。

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この記事を書いた人

現役の個人英語コーチ。英検1級・TOEIC975点。高校時代にアメリカ・カンザス州ウィチタへ1年間留学し、その後カリフォルニア州立大学ロングビーチ校へ留学。自身の経験をもとに、個人英語コーチとして受講生の指導にあたっている。

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