『アナと雪の女王』の主題歌”Let it go”、実際に耳にすると「レット・イット・ゴー」ではなく「レリゴー」に近い音で聞こえませんか。
知らないと単純な聞き間違いのように感じますが、実はこれ、アメリカ英語特有のはっきりした音の規則が原因なんです。
オット“Let it go”って歌詞で見ると「レット・イット・ゴー」なのに、歌だと「レリゴー」に聞こえるのはなんでなんだろう。



それは「Flapping(フラッピング)」と呼ばれる音の変化のせいです。アメリカ英語のリスニングでは避けて通れない現象なので、今日はその仕組みを説明しますね。
- “t”が「らりるれろ」に近い音に変わる「Flapping」という現象の正体
- “Let it go”が「レリゴー」に聞こえる理由
- Flappingが起きる単語・起きない単語の見分け方
- Flappingがアメリカ英語ならではの現象である理由
“t”が「らりるれろ」に聞こえる正体は「Flapping」
この音の変化は言語学では「Flapping(フラッピング)」、または「Tapping(タッピング)」と呼ばれています。
日本語では「tの弾音化(だんおんか)」と訳されることもあります。
ルールはシンプルで、次の条件がそろったときにt(時にはdも)が変化します。
tの前後を母音(aiueoに近い音)がはさんでいるtの後ろの音節に強勢(アクセント)がない
この条件を満たすと、舌先が上の歯茎に軽く一瞬だけ触れる音になり、日本語の「ら行」に近い音として耳に届きます。
あくまで「らりるれろ」に近く聞こえるだけで、日本語のラ行と全く同じ音というわけではありません。
なぜ”Let it go”が「レリゴー」に聞こえるのか



“Let it go”のどこにFlappingが起きているの?



“let”の”t”の部分だけです。1つずつ見ていきましょう。
letの最後のtは、letの母音と、次に続くitの母音(母音で始まる単語)にはさまれています。
しかもitは文の中で強く読まれない単語なので、Flappingの条件がそろい、let it全体が「レリ」に近い音になります。
一方、itの後ろに続くgoは子音gから始まるため、itのtはFlappingの対象になりません。
そのためLet it goは「レリ」+「ゴー」で「レリゴー」、同じ理屈でLet it beは「レリ」+「ビー」で「レリビー」に聞こえるというわけです。
単語の中で起きるFlappingの例
Flappingは単語をまたぐ場合だけでなく、1つの単語の中でも頻繁に起こります。
butter:「バター」ではなく「バラー」に近い音water:「ウォーター」ではなく「ワラー」に近い音letter:「レター」ではなく「レラー」に近い音city:「シティ」ではなく「シリー」に近い音party:「パーティー」ではなく「パーリー」に近い音
どの単語も、tの前が強く読まれる母音、後ろが弱く読まれる母音になっているのが共通点です。
また、Flappingはtだけでなくdにも起こることがあり、その結果latter(後者)とladder(はしご)のように、スペルが違う単語が同じ音に聞こえることもあります。
Flappingが起きない場合の注意点



じゃあ”t”が入ってる単語は、全部ラ行っぽくなるってこと?



いいえ、そこは誤解しやすいポイントです。母音にはさまれていないtは変化しません。
例えば次の単語は、tの前後どちらかが子音になっているため、Flappingは起きません。
note:語末のtの後ろに母音がないため変化しないtable:tの後ろが子音的なlの音になるため変化しないattack:tの後ろの音節に強勢があるため変化しない
見分け方に迷ったら、まずtの前後が母音かどうか、そしてtの後ろの音節が強く読まれるかどうかを確認する癖をつけましょう。
フレーズをまたぐFlappingにも慣れておこう
“Let it go”のように、Flappingは単語と単語の間でも起こります。
日常会話でよく使うフレーズにも、同じ仕組みのFlappingがたくさん含まれています。
not at all:「ナット・アット・オール」ではなく「ナラロー」に近い音get it:「ゲット・イット」ではなく「ゲリ」に近い音put it on:「プット・イット・オン」ではなく「プリロン」に近い音
どのフレーズも、”t”の前後に母音がきているかどうかを確認すると、Flappingが起きる場所を自分で見つけられるようになります。
洋楽の歌詞や映画のセリフを見ながら、Flappingが起きそうな箇所に印をつけて音読する練習をすると、リスニング力が鍛えられます。
Flappingはアメリカ英語ならではの現象
Flappingはアメリカ英語やカナダ英語で特によく起こる現象です。
イギリス英語(特にかしこまった話し方)では、tをはっきり発音する傾向が強く、Flappingはあまり起きません。
また、カジュアルなイギリス英語ではtの音自体を飲み込んでしまう「グロッタルストップ(声門閉鎖音)」という別の現象が起きることもありますが、これはFlappingとは異なる音の変化です。
同じ英語でも、話者や地域によってtの聞こえ方がここまで変わるというのは面白いポイントですね。
まとめ



Flappingを知ってるかどうかで、リスニングの聞こえ方が変わりそうだね。最後にまとめをお願い!



はい、今回の要点を整理しますね。
- 母音にはさまれた
tが弱く「ら行」っぽく聞こえる現象を「Flapping」と呼ぶ - “Let it go”は”let”の
tだけがFlappingして「レリゴー」に聞こえる butter・water・cityなど単語の中でも頻繁に起こるtの後ろが子音、または強勢のある音節だとFlappingは起きない- Flappingはアメリカ英語・カナダ英語に特徴的な現象
Flappingは、知らないと「聞き取れない自分の耳が悪いのかな」と不安になってしまう音の変化です。
ですが、仕組みさえ理解しておけば、アメリカ英語特有のルールに沿って音が変化しているだけだと分かります。
好きな洋楽や映画のセリフで、Flappingが起きている単語を探してみると、リスニング力を鍛える良い練習になりますよ。
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