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なぜ日本人は英語を話せないのか?「和訳グセ」という本当の原因

「TOEICのスコアが上がらない」「英語を話せるようにならない」「英語アレルギーで見るのも辛い」。

個人英語コーチとして活動していると、こうした相談を本当によく受けます。

よく考えてみると不思議です。多くの人は中学・高校の6年間、英語の授業を受けているはずだからです。

この記事では、現役の個人英語コーチである私が、第二言語習得(SLA)の考え方をもとに、日本人が英語を話せない本当の理由と、そこから抜け出すための考え方を解説します。

オット

英語の勉強、中学からずっとやってきたはずなのに、なんで話せるようにならないんだろう。

エリカ

実は、多くの人が同じ「あるクセ」を引きずったまま勉強を続けていることが原因なんです。今日はその正体を一緒に見ていきましょう。

この記事でわかること
  • 日本人の英語学習でよく見られる「文法訳読法」の弱点
  • 日本の英語教育が「訳すこと」を重視しがちな背景
  • 「訳すクセ」から抜け出すための考え方
目次

英語ができない最大の原因は「日本語に訳すクセ」

オット

そういえば学校のテストって、いつも「日本語訳しなさい」ばかりだった気がする。

エリカ

そうなんです。でも、よく考えるとそれって少し不思議なことなんですよ。

中学・高校の英語のテストは「この英文を日本語訳しなさい」「この英単語の意味を答えなさい」という問題が中心でした。

ですが、英語のそもそもの目的は「英語でコミュニケーションをすること」です。

日本語に訳せること自体は、実はそれほど重要ではありません。

実際、英会話でもTOEICでも、日本語に訳すことは一切求められません。

問題文も選択肢も回答マークシートにも日本語はなく、すべて英語のまま理解して解く形式です。

大学受験までに重視されてきた力と、TOEICや英会話で求められる力は、性質がかなり違うということです。

日本語に正しく訳せるかどうかより、コミュニケーションが成立するか、言っていることが分かるかのほうがずっと大事なんです。

このように日本語に訳しながら理解する勉強法は、SLA(第二言語習得論)の世界で「文法訳読法」と呼ばれています。

文法訳読法は、文法規則を理解し、英文を日本語に置き換えることを中心にした学習スタイルです。

この方法だけでは、英語を英語のまま理解して会話するスピード感が育ちにくいと、応用言語学の分野では長く指摘されてきました。

なぜ日本の英語教育は「訳すこと」を重視しがちなのか

オット

じゃあ、なんで学校の授業は訳読中心のままなんだろう?

エリカ

実は、学校の先生を責めるだけでは解決できない、制度的な事情があるんです。

日本で中学・高校の英語科教員免許を取得するために必須なのは、教職課程の単位取得や教育実習です。

英検やTOEICなど、外部の英語力試験で一定のスコアを取ることは、免許取得の法的な必須要件にはなっていません。

つまり、必ずしも「高い英語運用力」を証明しなくても、教壇に立つこと自体は制度上可能なのです。

もちろん、英語力の高い先生もたくさんいます。

ですが、教科書の文法事項を日本語で説明し、和訳させる授業は、指導する側にとって組み立てやすい方法でもあります。

結果として、自分が受けてきたのと同じ「訳す」スタイルの授業が、世代を超えて受け継がれやすい構造になっています。

加えて、日本の学校の先生は英語の授業だけでなく、担任業務や部活動の顧問など、抱える仕事が非常に多いのが実情です。

自分自身の英語力を伸ばす時間を確保すること自体が、構造的に難しい環境にあります。

この記事は、先生個人を責めるために書いたものではありません。

「なぜ自分は訳すクセがついているのか」という背景を知っておくことが、そこから抜け出す第一歩になると考えています。

「訳すクセ」を手放すと、英語力はどう変わるか

エリカ

訳すクセから抜け出せると、英語を理解するスピードが大きく変わってきますよ。

オット

でも、大学受験までのやり方を今さら手放すのは、ちょっと怖い気もするな。

大学受験のために頑張って身につけた勉強法を手放すのは、確かに抵抗があると思います。

ですが、大学受験までと同じやり方で英語を伸ばし続けるのは、実はあまりおすすめできません。

コーチとして受講生を見てきた中で、大学受験までは英語が得意だった人ほど、TOEICで思うようにスコアが伸びず悩むケースをよく見かけます。

理由の多くは、英語力そのものよりも、「文法を理解し、和訳する」という受験勉強のクセを引きずったまま試験に挑んでいることにあります。

訳すクセを手放し、英語を英語のまま理解する感覚が身につくと、TOEICのリスニング・リーディングでもスコアが伸びやすくなります。

英会話でも、相手の言っていることをその場で理解できるようになり、会話のテンポがぐっと良くなります。

私が受講生に指導する際も、英文をひとかたまり(チャンク)ごとに、語順どおりに理解していく練習を大切にしています。

一文をすべて日本語に置き換えるのではなく、意味のかたまりごとに前から理解していく練習を重ねることで、和訳しない読み方・聞き方が少しずつ身についていきます。

「訳す読み方」と「チャンクで読む読み方」の違い

例えばI usually spend my free time reading novels because it helps me relax.という英文があるとします。

訳読中心の読み方だと「私は普段、リラックスするのに役立つので、小説を読んで自由時間を過ごしています」と、文全体を一度日本語に組み替えてから理解しようとします。

一方、チャンクで読む場合はI usually spend my free time / reading novels / because it helps me relax.のように、意味のかたまりごとに、英語の語順のまま頭から理解していきます。

「私は普段自由時間を使う/小説を読むことに/なぜならリラックスに役立つから」と、日本語に組み替え直す作業が発生しません。

この差は短い一文だとわずかですが、リスニングのように音声が流れ続ける場面では、理解のスピードに大きな差となって表れます。

エリカ

いきなり全部を変える必要はありません。まずは短い英文から、訳さずに前から理解する練習を始めてみてください。

訳すクセを手放すための第一歩
  • 短い英文を、日本語に訳さず語順どおりに理解する練習から始める
  • 意味のかたまり(チャンク)ごとに区切って読む・聞く
  • 「正しく訳せたか」より「意味が分かったか」を基準にする

まとめ

最後に、この記事でお伝えした内容を整理します。

この記事の要点
  • 日本人の英語が伸び悩む大きな原因は「日本語に訳すクセ(文法訳読法)」
  • 訳読中心の授業が続く背景には、教員免許制度や学校現場の忙しさがある
  • 訳すクセを手放し、チャンクごとに理解する練習でTOEIC・英会話とも伸びやすくなる

「訳すクセ」は、決して悪いものではありません。

ただ、そこにとどまり続けると、英語力の伸びしろにフタをしてしまいます。

まずは短い英文から、訳さずに理解する練習を今日から少しずつ始めてみてください。

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この記事を書いた人

現役の個人英語コーチ。英検1級・TOEIC975点。高校時代にアメリカ・カンザス州ウィチタへ1年間留学し、その後カリフォルニア州立大学ロングビーチ校へ留学。自身の経験をもとに、個人英語コーチとして受講生の指導にあたっている。

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